イベント列車「リゾートみのり」&仙石線団体臨時列車でめぐる、石巻・女川「美味いもん」あじわいの旅、がJR東日本東北総合サービス株式会社、キリンビールマーケティング株式会社宮城支社、復幸まちづくり女川合同会社、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンの協賛で6月9日に開催された。一般客90名と、招待客20名の総勢110名を乗せて、朝9:35発の団体臨時列車リゾート「みのり」が石巻駅までの道のりをゆっくりと走る。
仙台駅と石巻駅を結ぶ仙石線は列車が津波で流されるなど東日本大震災における被害は甚大で、高城町駅(宮城県松島町)~陸前小野駅(宮城県東松島市)間が、不通区間として残り、バスによる代替運行が行なわれていた。 約4年後の2015年5月30日に、東名駅と野蒜駅を高台移転する形で仙石線は全通。塩釜駅~高城町駅には東北本線の渡り線も作られ、仙石線に加え、その渡り線を使って運行する仙石東北ラインも同日開通している。
車内では、東北大学出身の『ニホンジンプロジェクト』メンバーによる生演奏が披露されるなど、にぎやかなひと時だ。旅のお供に選ばれたのは『高政』の「笹かま」、『岡清』の「ほや生ジャーキー」、『キリンビール』の「一番搾り 仙台づくり」。この「一番搾り 仙台づくり」は、東北産ホップと宮城県産ササニシキを使用したすっきりとした後味が自慢のビール。石巻、女川の美味いもんを味わう旅にはうってつけだ。
石巻駅に到着すると、そこには東北の若手漁師集団『フィッシャーマン・ジャパン』がお出迎えしてくれていた。そして、乗客の一番の楽しみである昼食会場『グランドホテル』へ誘導される。昼食は、石巻産の魚介類や海藻を使ったフルコースのバイキング。なんとここでも『フィッシャーマン・ジャパン』のメンバーがアテンドしてくれる丁寧さ。海の男とは思えないほどの繊細な気配り、心のこもった料理の説明に、復興のために立ち上がり今に至るまでの苦労と努力がうかがえる。会場を埋め尽くす110名の乗客の満足した笑顔は料理の味だけでなく、そうした彼らへの賛辞も含まれていたのではないか。(メニュー一部抜粋:女川尾浦 鈴木さんの銀ザケと石巻産野菜のピリ辛炒め、石巻産白身魚のポアレ、石巻産ムール貝とほうれん草のキッシュ、石巻谷川浜 渥美さんのホヤの酢の物 ワカメ添え、女川尾浦 鈴木さんの銀ザケ JAいしのまき産ササニシキの握りずし、南三陸歌津 高橋さんのホタテ JAいしのまき産ササニシキ イクラのせちらしご飯 等)
食事が終わり、身も心も大満足のその後は女川へ向けて石巻線へ乗り込む。
こちらは2015年3月21日に全線開通した。震災で全線不通となっていたが、1カ月後の2011年4月から段階的に運転を再開、被災市街地復興土地区画整理事業などを活用して、土地の造成や施設の整備を進めてきた。女川駅の駅舎や線路の復旧も、周辺のまちづくりに合わせて移設やかさ上げを行った。開通日も女川町が計画している駅周辺のまちびらきに合わせて設定したという。到着した女川駅にはなんと、須田善明町長が直々にお出迎えしてくださっていた。乗客110名に向けて、「少しずつではあるが若い力により復興が進んでいる。より早い復興のためには私たち一人ひとりが〝今できること″に全力を尽くし、町民の総力を結集して事に臨んでいきます。」と笑顔であいさつをした。
その後「あがいんステーション」へ誘導され、乗客には女川産ホタテ焼きとつみれ汁が振る舞われた。この「あがいんステーション」は女川ブランディングプロジェクトの一環として流失した旧女川駅舎の外観を復元し、水産業を肌で感じる体験と水産加工品を中心とした女川の地場産品の魅力の発信拠点となる女川水産業体験館だ。
2015年6月14日(日)に落成記念式を迎える。
ひとしきり、石巻・女川を堪能できたツアーの一日の締めは、「マンガッタンライナー」での帰仙なのだが、乗り込む手前でまたもや『フィッシャーマン・ジャパン』からの特産品のお土産が手渡された。『石巻津田水産』の「三陸銀鮭塩麹漬」、『シーフーズあかま』の「アカモク」、『南三陸 金比羅丸』の「湯通し塩蔵わかめ」、すべて彼らが自らの手で獲り加工し全国に届けている商品だ。復興を期に漁業という職業のイメージを変え、仕組を変え、「真にカッコよく稼げるフィッシャーマン」として生まれ変わった彼らの姿からは勇気をもらえる。また彼らを見て、本来の職業の在り方や自分自身の身の振り方も変えて行こうとする仲間も増えることになるだろう。
こうしてたくさんの方の協力のもと、石巻・女川「美味いもん」あじわいの旅は無事終了した。
次回は6月16日に開催されるとのこと、参加される皆様は十分に石巻・女川の復興が始まっている姿を楽しみながら「美味いもん」で満たされて来てほしい。
◆JR東日本東北総合サービス株式会社
http://www.jr-tss.co.jp/00.files/
◆キリンビールマーケティング株式会社宮城支社
http://www.kirin.co.jp/company/group/kirinbeermarketing/
◆復幸まちづくり女川合同会社
http://www.onagawa.co.jp/
◆一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン
http://fishermanjapan.com/
◆ニホンジンプロジェクト
https://nihonjin.biz/
(取材=澤田 てい子)