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創業70年。壱弐参横丁とともに生まれ横丁を往来する人々の胃袋を満たしてきた昔ながらの食堂。変わりゆく時代の中、愛され続ける理由と今後の夢は。

いまや海外からの観光客にも人気の壱弐参横丁。入り口入ってすぐ右手にあるお店が「笹屋」。
昭和風情ある外観。季節メニューや定番メニューが貼ってあり、何を食べようか悩む。2軒分を借りて営業中。
笑顔が素敵なオーナー夫妻。店内ではもちろん、商店街を歩いていても気さくに声をかけてくれる。著者のように癒されに行く客も多い。
夏季限定商品!「ほや冷やし中華 902円(税込)」
著者もハマるこの味は宮城を代表する味。元祖といっても過言ではない。
彩り鮮やかな「タンメン 770円(税込)」季節ごとの野菜が嬉しい!
1番人気の「カレーセット 770円(税込)」
ついで2番人気の「半チャンセット 858円(税込)」

昭和21年壱弐参横丁誕生、そして昭和23年「笹屋」創業。

仙台を代表する横丁「壱弐参横丁」は、1946年(昭和21年)に誕生した「中央公設市場」がルーツとなったスポットで、かつてはすぐ近くに映画館もあり、仙台の賑わいの中心にあった。その創業からほどなくして誕生したのが「笹屋」。昭和23年のことだった。当時は軽食やかき氷等、外から来るお客様が喜ぶようなメニューを作り、賑わい憩う場所として重宝された。横丁は人出が多く、まるで盆と正月が一気に来たかのような賑わいだった。飲食店に限らず、魚屋、八百屋、衣料品店等がひしめき合い、活気にあふれていた。

後継者として

現社長である、中村氏が家業の手伝いを始めたのは10代後半、高校3年生の時だった。当初はテーブル4席だけの小さな店舗だったが、座ってご飯を食べる時間がないほど忙しく、お客様には相席をお願いしてぎゅうぎゅうになって食べて頂く毎日だった。最初から跡を継ごうと思っていたわけではなく、小学校の頃は手に職を持ち床屋か寿司屋になりたいと考えていた。そのうちに将来の選択を迫られる年になり「跡を継いだら喜んでくれるだろうな」と両親の顔を思い浮かべ決意した。手伝いはしていたし、不安はなかった。高校卒業後、宮城調理師専門学校へ入学、免許を取って家業へと入っていった。

平成2年、中村氏が39歳のとき、先代から店を継いだ。当時は現店舗の食堂ともう一つ、ラーメン・蕎麦業態を分けて別店舗として横丁で営業していたが、もともと奥様と二人三脚で営業していたこともあり後継をきっかけに2店舗を1つにまとめ店舗拡張を選択した(現店舗)。その頃から横丁自体の雰囲気も少しずつ変わっていき、外からの人が呼べなくなっていった。近隣にコンビニが増え、大手の会社は減り、夜営業しかしていなかった居酒屋のランチ営業が増えていったことにより、昼に顔を見せてくれる常連の数は減っていく。ガタンと売上が落ちることはないが、低空飛行は続いていた。

宮城の豊かな食を大切に

メニュー開発は自分たちで行っている。最初から「地産地消」を意識していたわけではないが、昔から自分たちが食べている食事や食べたいと思う料理をメニューにしてきた。人気メニューはだいたいがまかないからの延長だと聞くと納得がいく。その営業姿勢を見て宮城県や仙台市からも声がかかるようにもなった。ここ3,4年くらいで「ほや」のメニューを注文する人が増えてきた。ほやを丸ごと1個使った「ほやラーメン 902円(税込)」や「ほや餡かけご飯 990円(税込)」、「ほや冷やし中華 902円(税込)」等は自分たちが食べたいものを食べたいように提供していたらその味にハマる人が続出して大ヒット商品となったが、特にブームに乗ったとかそういったわけでもない。普段通りの営業が支持されたのだと感じている。

たくさんの方に喜んでいただけるようにメニューはたくさん

70年の歴史がある食堂なだけあって、そのメニューは多岐にわたる。その中でも一番人気はラーメンと小カレーライスのセット「カレーセット 770円(税込)」昔からのヒット商品でサラリーマンに大人気の満腹メニュー。二番人気はこれぞ食堂の定番、ラーメンと半チャーハンのセット「半チャンセット 858円(税込)」三番人気は季節ごとに珍しい野菜を取り入れ、彩り豊かな「タンメン 770円(税込)」。量も多いが野菜がメインということで女性にも大人気だ。ちょい飲み需要にもこたえるべく「チョイ飲みセット(ビール・日本酒・焼酎のいずれか1杯+かつ煮・野菜炒め・あおば餃子のいずれか1皿+小鉢) 1,155円(税込)」もある。

今後の夢

現在68歳。「際限のない毎日の繰り返しを苦痛だと感じたことは一度もない。お客様の笑顔に触れ、10年20年やってきて、継続していく中で30年で気づくこともある。安くて美味しい料理を出していたら、少しでも世の中の役に立っていると思うことができる。それこそ、親から譲り受けた意義があるというものだ。」と中村氏は言う。嫌なことつらいことも忙しくしていたら忘れることができるし、お客様は待ったなしで美味しい食事を求めてくれる。「目の前の人のために尽くすこと」ができることが自分たちの幸せでありこれからも続けていきたいと願う夢でもある。たとえいつか自分たち夫婦が店を営業できなくなっても、店としての存続を切に願っている。

 

(取材=澤田てい子)

店舗データ

店名 創業昭和23年 麺味処 笹屋
住所 宮城県仙台市青葉区一番町2丁目3-28
アクセス 地下鉄東西線 青葉通1丁目駅から徒歩3分
電話 022-267-3039
営業時間 11:00~18:00(L.O.18:00) 日曜・祝祭日~16:00
定休日 毎週土曜日
坪数客数 10坪テーブル席4人掛け6席+カウンター3席
客単価 750円
運営会社 株式会社笹福
オープン日 1948年
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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