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インタビュー

飲食に恋してる裏方たち 株式会社吉田酒店 【山本洋平】

飲食店のカウンターに、自然と入り込んでいる“業者”がいる。
けれど、その距離は一朝一夕で生まれるものではない。
配達員として現場を回り続け、経験を重ね、機会に備えながら関係を築いてきた時間。
その積み重ねの先に、今の山本洋平がいる。
これは、一人の酒屋が“裏方”として信頼を重ねていくまでの話だ。

プロフィール

山本洋平 (やまもとようへい)

1979年2月12日生まれ

宮城県仙台市出身
株式会社吉田酒店 営業課長

【主な活動・実績】

お得意先様現在約150軒
日本酒、焼酎等の開拓




■飲食の外側から、現場の中へ
――ラグビーと配達、その先にあったもの

高校卒業後、ラグビーで実業団に進み、トヨタ(豊田自動織機)で4年間プレーしていた。
競技の世界を離れたあと、野菜加工や建築の仕事を経て、現在の道にたどり着く。
「特別に飲食に思い入れがあったわけではなかったんです」
日本酒も、当時はあまり好んで飲むほうではなかった。
そんな中、縁に導かれるように吉田酒店へ。
面接の日、「明日から来て」と声をかけられ、配達員としてのキャリアが始まった。

■店の中に入れてもらうということ
――配達員としての時間が教えてくれたもの

最初は先輩の助手席に乗り、飲食店を回る日々。
やがて一人で任されるようになり、少しずつ現場の空気を覚えていく。
配達先では、仕込み中の厨房に入り、会話をし、
「食べていきな」と声をかけられることもあった。
飲食店の忙しさの中に入り込みながら、
人と人との距離が自然と縮まっていく。
その時間こそが、山本さんにとっての学びの場だった。

■営業という仕事を見据えて
――現場で積み上げてきたもの

「人見知りだけど、人と話すのは好きなんです」
そう語る山本さんは、早い段階から営業という仕事に興味を持っていた。
すぐに役割が変わるわけではなかったが、
配達の現場で経験を重ねながら、その時に備えていた。
思うように進めないと感じる時期もあったが、現場を離れることはなかった。
日本酒を学び、休日には蔵を回り、知識を深めていく。
その一つひとつの積み重ねが、少しずつ周囲の信頼へと変わっていった。
自分で積み上げてきた時間は確実に周囲に見られていた。

■役割を越えて、価値をつくる
――“配達員なのに”と言われた出来事

特約店(※)の獲得という、通常の役割を越えた成果。
「配達なのによくやったな」
そう言われるような動きを、自らつくっていった。
与えられた役割の中にとどまらず、できることをやり続ける。
その姿勢が、周囲の見方を少しずつ変えていった。

※特約店:蔵元と契約し、限定酒などを扱うことができる販売店

 

■現場で重ねてきた時間の意味
――倉庫、配達、そのすべてが今につながる

営業に至るまでに、配達や倉庫業務など、さまざまな現場を経験してきた。
一直線ではない時間の中で、現場への理解を深めていく。
「面白かったんですよ、倉庫も」
そう言い切る言葉に、これまでの時間の重みがにじむ。
配達も、倉庫も、そのすべてが今の仕事につながっている。
現場で積み重ねてきた経験の中で、少しずつ役割が広がっていった。

■“お客さんが喜ぶこと”を考え続ける
――営業としてのシンプルなテーマ

営業として大切にしていることは、極めてシンプルだ。
「どうやったらお客さんが喜ぶか」
簡単に答えが出るものではない。
だからこそ、話し続ける。
相手のことを知り、生活や背景を理解していく。
一人ひとり違うお客様に対して、それぞれの関係性を築いていく。
その積み重ねが、信頼につながっていく。

■酒屋は、かっこいい
――現場に関わる仕事としての誇り

「酒屋はかっこいいんですよ」
その言葉は、営業になってから自然と出てきたものだった。
飲食店のすぐそばで、人と人の間に立ち、関係をつくっていく仕事。
表に出すぎるわけでもなく、ただ支えるだけでもない。
その絶妙な距離感の中で、価値を発揮していく存在。
山本さんにとって酒屋とは、そういう仕事なのだ。

■飲食人であるということ

店を動かす人、食材を届ける人、酒をつなぐ人。
現場に関わり、関係をつくり続けるすべての人が、飲食を支えている。
山本さんの仕事もまた、その一つだ。
どうやったらお客さんが喜ぶかを考え続けること。
相手を知り、関係を築き続けること。
その積み重ねの中にこそ、飲食に関わる仕事の価値がある。
カウンターの内側に立つか、外側に立つか。
その違いだけで、本質は変わらない。
それぞれの場所で関わり続ける人たちが、
この業界を支えている。
山本洋平もまた、その一人だ。

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